製造業が米国や日本にもう戻らない理由

製造業無法遷回美國及日本的原因

東洋経済オンライン 323()1316分配信

東洋經濟326()13:16發佈

前回紹介したニューヨークタイムズの記事によれば、iPhone用の強化ガラスを生産したのは、161年の歴史を持つアメリカのコーニング社だ。

根據上期介紹New York Times的報導中得知,生產iPhone用強化玻璃的廠商為擁有161年歷史的美國康寧公司。

同社で生産されるのは大きなマザーガラスだから、これを小さなiPhoneに組み込むには、画面のサイズに合わせて正確にカットする必要がある。ところが、これは技術的に極めて難しい作業だ(そのため、携帯電話ではガラスを用いていなかった)。そして、広大な工場施設と、多数のミドルレベルの技術者が必要になる。アメリカでそれをやろうとすると、大変なコストがかかる。

該公司生產的是大片的母玻璃,為了組裝在體積小的iPhone上,需配合螢幕大小、精準地切割,但是,這種技術是非常困難的作業(也因為如此,手機螢幕排除使用玻璃)。因此,擁有規模龐大的工廠設備及眾多中間階層的技術人員為其必要條件,在美國如果想進行這樣的作業,必需花費大額的成本支出。

この難問をアップルが検討していたところに、中国の工場から生産の提案が届いた。早速アップルの担当者が現地に視察に出向くと、すでに新しい工場棟が建築中だった。倉庫には試作品の山があった。工場には寮があり、エンジニアを24時間使える体制が出来ていた。

正當Apple在討論這方面的難題時,中國的工廠提出了解決方案的建議。Apple的業務負責人馬上前往當地視察,發現新工廠已經在建設中,且倉庫堆積了像山一樣高的試作品,也因為宿舍建在工廠內,因此機器可以維持24小時不間斷的生產模式。

「もし注文をくださるなら、この工場で直ちに生産します」。ここがガラスカッティング工場に選定されたことは、いうまでもない。

「如果現在下訂單的話,這間工廠馬上就能開始生產」,毫無疑問地,應該選擇此地做為玻璃切割工廠。

その工場から車で8時間ドライブすると、「フォックスコンシティ」と人々が呼ぶ場所に着く。ここは、28万人の労働者がiPhoneの組立を行うフォックスコンの工場だ。彼らは、週6日、112時間働く。1日当たりの給与は17ドル(1360)程度だ。

從這間工廠開車八小時的距離,將抵達人們稱為「富士康城」的地方,在那裡,是擁有28萬人的勞工正在進行iPhone組裝的富士康工廠,他們一週工作六天、一天工作12小時,一天的薪資水準約17美金(1360元日幣)

「カッティングされた最初のガラスが真夜中に到着し、それを用いた組立作業のため、8000人の従業員がたたき起こされた」と、前回の連載で述べたのは、この工場だ。なお、ニューヨークタイムズに対して、フォックスコン側は、「厳しい就業規則があるから、真夜中に従業員を起こすことなどありえない」としている。しかし、インタビューを受けた従業員は、このエピソードは事実だと述べたそうだ。

「最初用來切割的玻璃於半夜抵達,為了進行組裝作業,8000人的作業員被叫醒」等前次報導的內容,指的就是這間工廠。另,針對New York Times的報導,富士康方面的回覆是:「雖然有著嚴格的工作規則,但在半夜把員工叫醒是不可能發生的事」。但是受訪的作業員說,我只是陳述事實而已。

エピソードの真偽や、就業体制の是非は別問題として、アメリカ国内はもとより、世界のどこでも絶対に得られない生産体制が中国に存在することは、事実である。状況に応じて柔軟に生産量を調整できる工場が存在すること、単純労働者だけでなく、ミドルレベルの技術者を多数獲得できることが重要な条件だと、アップルの担当者は述べている。

事件的真偽及就業制度的是非為另一個問題,但美國國內、甚至是世界各地都不可能發生的生產制度,卻在中國出現,這是不容分辨的事實。能依據狀況彈性地調整生產量的工廠其存在的要件,不僅僅需要勞動者,擁有眾多的中間技術者更是其必要條件,Apple業務的負責人如此說道。

iPhoneの生産が中国で行われていることは広く知られているが、多くの人は、「安価で勤勉な労働力が得られるから中国生産が選択される」と考えている。そうした側面があることは事実だが、より広範な生産体制の存在が重要なのだ。

多數人都知道iPhone的生產工廠在中國,大家的想法都是「因為有廉價及勤奮的勞工,所以才選擇中國作為生產基地」,但這些側面瞭解的事實,說明了存在範圍更廣泛的生產體制才是更重要的因素。

■サプライチェーンでは距離が問題になる

供應鏈的距離將成為問題

アップルからの注文を受けたことで、コーニングのケンタッキー工場の生産は増加した。スマートフォンが成功し、他社もアップルと同様にガラスのタッチパネルを採用したので、アップル以外からも注文が来るようになった。しかし、コーニング社による生産の大部分は、ケンタッキー工場ではなく、日本や台湾にあるコーニングの工場で行われた。

接受Apple的訂單後,康寧位於肯塔基工廠的生產量隨之增加,智慧型手機的成功發展,促使其他公司亦跟Apple一樣採用觸控螢幕,因此也接到了Apple以外的訂單,但是康寧大部份的生產產出並非在肯塔基工廠,而是在日本及台灣的工廠進行。

その理由は、ケンタッキーでは、後工程を担当する中国工場との距離が遠すぎることだ。アメリカから出荷すると、船便では中国に着くまでに35日かかる。航空便ではコストが10倍もかかってしまう。つまり、太平洋の広さが問題になるのである。

它的理由是肯塔基工廠與負責後段製程的中國工廠的距離太過遙遠,從美國出貨後,船運抵達中國需要花35天,空運的成本是船運的十倍,總而言之,廣闊的太平洋成為問題所在。

日本は、中国という大組立工場の近くだから部品を供給できたことになる。この点は十分認識すべきだ。

日本,因為距離中國組裝工廠十分接近,可以適時提供零件,關於這點必需充分地瞭解。

多くの人は、日本の利点は、中国という大消費地の近くに位置していることだと思っている。しかし、それを利用して中国に最終消費財を日本から供給しても、利益のあがる事業になるとは思えない。より重要なのは、中国の工場に部品や機械を供給することなのである。

大多數的人認為日本的優勢在於與龐大消費市場-中國十分接近的地理位置,但是,就算利用這點,由日本供給最終消費財給中國,亦無法使得企業獲利成長,更重要的是,供應零組件及機械設備給中國的工廠。

考えてみれば当然のことだが、サプライチェーンを構成する工場は、ある程度以内の距離にあることが必要だ。前回示した地図で「中央日本工業地帯」とも言うべき地帯が赤色(製造業雇用者比率が20%以上)で浮かび上がっているが、これは、「トヨタを初めとする東海地域の自動車産業に部品を供給する地域だ」と考えると、理解しやすい。組立工場と高速道路で結ばれているからこそ、ジャストインタイムが実現できるのである。コールセンターが海外に立地する様子を見ていると、21世紀型のグローバライゼーションは立地に束縛されないように思える。しかし、それは情報だからだ。物流の場合には、当然のことながら、物理的距離が重要になるのである。

仔細思考,這是理所當然的事,構成供應鏈的工廠,必需在一定範圍的距離內。前次報導的地圖中,稱為「中央日本工業地帶」的區間是紅色的(製造業雇用比率在20%以上),很容易理解為這代表了以「Toyota」為主,於東海地區所形成的汽車產業零組件供應鏈區域,正因為組裝工廠與高速公路連結,才能實現just-in-time的目標。從企業將客服中心設在海外這點來看,21世紀的全球化發展並不受地理位置所束縛,但那只限定為資訊面,從物流面來看,理所當然地,地理上的距離還是非常重要。

ところで、日本の自動車産業も、最終組立工程は、すでに、多くが海外に移転している。いずれ、組立の大部分が海外で行われるようになるだろう。そうなると、部品生産も海外に移転せざるを得なくなる。製造業の雇用者比率が高い地域から、工場がなくなっていくのだ。これによる地域経済の疲弊は、これから日本が取り組まなければならない大問題である。

但是,日本的汽車產業也是,幾乎所有的組裝作業多已移往海外,因為如此,零組件的生產移往海外是不得不面臨的發展趨勢,在製造業雇用率高的區域,工廠逐漸消失,不僅造成當地經濟發展的衰退,亦對日本未來發展前景形成隱憂。

■製造業を呼び戻せば赤字になる

若是呼籲製造業回國發展,則將造成虧損

アメリカでは、大統領選を控え、製造業向けのキャンペーンが盛んに行われている。オバマ大統領だけでなく、共和党も法人税減税を提案している。しかし、法人税を減税するだけで、アメリカに製造業が戻るはずがない。なぜなら、すでに述べたように、製造業の立地は、経済全体の問題だからだ。特に、ミドルレベルのエンジニアなどの、人的な資源が重要だ。しかし、アメリカはそうした資源を失ってすでに40年経つ。

在美國,因為即將進行總統選舉,針對製造業提出了非常多的優惠方案,不僅是歐巴馬總統,共和黨亦提出了企業減稅方案。但是,僅僅是針對企業減稅,並無法促使製造業回到美國本土。原因如上所述,製造業的地理位置,是必需對經濟全體全盤考量的問題,特別是中間階層的工程師,人力資源是非常重要的,但美國在40年前就已經失去這方面的資源了。

無理して体制を整えたとしても、アメリカの高賃金で中国の低賃金と張り合えば、企業の利益は低下する。だから、製造業を呼び戻そうという政策は、実際の効果を期待したものでなく、大統領選挙用の政治的なメッセージに過ぎないのだ。

就算強迫調整體制,美國的高薪資水準相較於中國的低薪資水準亦會造成企業獲利降低,因此,呼籲製造業回國發展的政策,僅僅是總統選舉釋放的政治訊息,不需對其多做期待。

日本でも条件は同じである。ところが、200307年頃の日本では、円安を背景として国内生産の有利性が回復し、「生産の国内回帰」とも呼べる現象が起きた。

雖然日本的條件也一樣,但是2003-2007年代的日本,在日元貶值的背景下,重新找回國內生產事業的優勢,產生了「生產事業回歸國內」的現象。

日本政策投資銀行の資料によると、テレビはすでに1987年頃に海外生産が国内生産を上回り、94年に輸入が輸出を上回っていた。ところが、03年頃から薄型テレビの国内生産が増大し、09年には海外生産4200万台程度に対して国内生産が半分近くのレベルに達した。

依據日本政策投資銀行的資料,從1987年起電視事業的海外生產已超越本國生產,1994年輸入已超過輸出。但是,2003年起液晶電視的國內生產增加,相較於2009年海外生產4200萬台的水準,國內生產已達到近半的水準。

図に示すのは、製造業の大企業(資本金10億円以上)の国内設備投資伸び率の推移である。01年度以降はマイナスの伸びが続いていたが、03年度から06年度まで、10%を超える高い伸びを示している。0405年度は、15%台の高い伸び率だ。

例圖所表示的是製造業裡大型企業(資本額10億日元以上)的國內設備投資成長率的變化曲線。2001年起一直是負的成長率,但從2003-2006年則為超過10%以上的高成長率,20042005甚至高達15%的成長率。

この時期に投資がなされた新鋭工場として、09年に操業開始したシャープの堺工場、104月に稼働したパナソニックの姫路工場、トヨタの小倉工場、キヤノンの大分工場などがある。

這期間投資設立的新進工廠,分別為2009年開始運作的Sharp堺工廠、20104月開始投產的Panasonic姬路工廠、Toyota小倉工廠及Canon大分工廠。

しかし、液晶テレビの場合には、国内工場が赤字の原因になった。国内回帰は、円安だけでなく、「薄型テレビは高度の技術を要するので国内生産が競争力を持つ」との判断に基づくものだった。しかし、そうではなかったのだ。中国や韓国での生産が増大し、製品価格の著しい下落に直面することになった。自動車の場合も、積極的に海外生産を進展させた日産自動車が業績を伸ばす半面で、国内生産にこだわったトヨタが立ち後れることになった。

但是,觀察液晶電視的情況,生產回歸國內反而是造成國內工廠虧損的主因。除日元貶值外,基於「薄型電視需要高度的技術,在國內生產可保有較高的競爭力」等原因所做的判斷下,將製造業移回國內生產,但是,事實發展並非如此,中國及韓國的生產量逐漸增加,不得不面臨成品價格大幅下降的事實。汽車產業的情形也是一樣,積極發展海外生產的日產汽車業績大幅成長,反觀堅持在國內生產的Toyota汽車則發展落後。

野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)
早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授■1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省(現財務省)入省。72年米イェール大学経済学博士号取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、20054月より現職。専攻はファイナンス理論、日本経済論。著書は『金融危機の本質は何か』、『「超」整理法』、『1940体制』など多数。

筆者:野口悠紀雄

(週刊東洋経済2012年3月17日号)

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